引退試合

冬季オリンピック真っ只中。
連日ニュースでは
4年に一度のこの一瞬を目指して戦ってきたっ!!
とアナウンサーが報道している。
ふと、高校時代を思い出してしまった。

あたしの行っていた高校は、
文武両道の精神に則り、進学校なのに全員部活に入ることが
義務付けられていた。
あたしは高校に入ったら、遊ぶぞっと決めていたので、入部なんて
寝耳に水・・・中学生時代にやっていた吹奏楽も続ける気はないし・・

そんなこんなで、締め切りが迫ってしまいバレー部の友達に
誘われるがまま、マネージャーとしてバレー部に入部した。

このバレー部は変わった決まりがあった。
先輩を呼ぶときに
”〇〇せん” と呼ぶ。
例えば、みちこ先輩なら 「ミチせん」

どーでもいいけど・・・かっこ悪い・・・
来年自分も 「りょうせん」と呼ばれるのかと思うと、
ぞっとした(怖)

入部して、3ヶ月が経ちやっとこの”〇〇せん”になじんできた頃、
3年生の引退試合がせまってきた。
あたしはこのバレー部に入って、ずーっと気になっていたことがあった。
それは3年生の”ユミせん”のこと。
ユミせんは、万年補欠の3年生。
(見た目は小木矢作の小木と、光浦 靖子を足して2で割った感じ。)

練習は一度も休まず真面目に練習をしてきたと、2年生の先輩に聞いた。
だが、一向に上達することがなく一度も試合に出たことがないらしい・・・

そんなユミせんに最後の晴れ舞台はあるのだろうか!?
いや、あって欲しいっ!!と望みながら、監督が発表する選手名を
聞いていた、6人が呼ばれ(そのうち2人は2年生)ユミせんもあたしも
がっかりしていたそのとき、
「ユミ、おまえも明日の試合にはだすから、そのつもりでこいっ」
やったーっやったよ、ユミせんっ♪♪

次の日試合会場に登場したユミせんは、いつもの眼鏡をコンタクトに替え、
いつも無造作に結っていた髪も、綺麗に編みこんである。
そんな気合の入ったユミせんを見たら、応援にも気合が入った。

1セットが終わり、2セットめの中盤あたし達の高校がリード。
ここで、一気に点差をつけたいっ!!
そのとき、監督が立ち上がり選手交代の合図がっ!!!

きたっ! ユミせんの出番です!!
「頑張れ、頑張れ、ユミせんっ

ゆみせんのサーブッ!!

「ソォォォォォォォォォォォォォォッレッ!!」

ユミせん、ナイスサーブっ!!!


「ピ、ピピィィィィッ」
なぜか、審判の笛が鳴り、試合が中断した。


と、コートを見ると ユミせんが四つんばいになっているではないかっ!?
な、何があった、ユミせん、怪我か!?
いや、怪我ではなさそうだ。

んっ!?

えええええええええええっ!!??

ま、まさか・・・・・・





ユミせん、コンタクトレンズ探してる・・・・


せっかくの晴れ舞台につけてきた慣れないコンタクトを、
サーブの勢いで落としてしまったらしい。

拾うの今かよっ
ゆーみーせーんっ

その後すぐに選手交代されたのは、言うまでもない・・(泣)



あたくしごとで、すみません。

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